タックスヘイブン 感想 橘玲の小説 まるで映画のような展開!!

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タックスヘイヴン TAX HAVEN
タックスヘイブンは、橘玲(たちばなあきら)さんの書きおろし小説です。香港、シンガポール、タイなどアジアを舞台に裏の金融コンサルタントが活躍する経済エンタテイメント作品です。

タックスヘイブン あらすじ

外資系金融機関を経験したフリーの金融コンサルタント古波蔵佑(こばくらたすく)は、裏稼業の人達の資金洗浄(マネーロンダリング)等を生業にしている、やり手のコンサルタントです。

そんなある日、いつも通りひと仕事を終えた古波蔵佑の元に、長年音信不通だった、高校時代の親友で翻訳の仕事をしている牧島から突然電話がかかってきたのです。

その内容は、同じく高校の同級生の紫帆の旦那がシンガポールで自殺をしたらしいとの事、しかも何やら自殺ではない可能性もあるという、こうして古波蔵佑は、親友の為に協力する事になるのですが、事件の謎が明らかになるにつれ、また一人、また一人と関係者が殺されていくのです。

果たして、古波蔵佑は、事件の真相を無事解明出来るのでしょうか。

そして物語が佳境に入ると、マネーロンダリングだけではなく、ODAマネー、暗躍する政治家、原発輸出計画、北朝鮮の核開発問題と、どこまでもスケール広がっていきます。そして、驚愕のラスト!!最後まで目が離せません。

タックスヘイブン 感想

橘玲さんの本を読むのは2冊目です。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』という、経済指南書とも呼べる、わかりやすい経済入門書を読んだ事があったので、今回も『タックスヘイブン』マネーロンダリングの秘密について書かれているものだと思っていました。

でも、普通にそんなマネーロンダリングの仕組みなんて、公に発表出来ないですよね。だからこそ、小説という形式にしたのでしょうか。きちんと小説の冒頭には、本書はフィクションであり、ここに登場する人物、団体、金融機関等は実名をあげた一部を除きすべて架空のものであり、本書で描かれる租税回避の手法はあくまで著者の想像の産物であると書かれています。

タックスヘイブンの中で、何度か脱税に関する手法が紹介されるのですが、それも私的見解としています。まああたりまえなんですけれど、妙に説得力があったりするんですよね。また、金融小説ならではのお金の取引があるのですが、慰謝料とか、利息とかの数値の計算が早い、早い、銃撃戦とかではなく、こういう展開でワクワクさせてくれる小説は、なかなかないです。

ファンドマネージャーとなる人達、実際の方も小説の中に出てくる人物たちのように頭の回転が早いんでしょうね。それにしても、タックスヘイブン、フィクションと言いながらも、首相になれなかった暗躍する政治家をはじめ、想像すれば、この人の事イメージしているでしょう、というのがすぐわかる作品です。誰もが分かる時事問題に登場するキャラクターも満載です。

難しい専門用語もたくさん登場するのですが、全く気にならないほど、物語の展開が早くて続きが気になります。金融小説というより、エンタテイメント作品です。

きちんとした知識がある方が、情報収集と緻密なストーリーを融合させるとこんなにも面白い作品が出来上がるのですね。しかも、楽しみながら、脱税のイロハが分かってしまうところが、またミソです。(勿論、出来るわけないのですが・・・)

スパイ小説の巨匠、フレデリック・フォーサイス作品のような経済小説タックスヘイブン、アジア各国でのシーンが映像として頭の中に浮かぶほどです。これは映画化期待してしまいますね。
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