空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

今回、映画の感想ではありません、小説の感想です。一流映画にひけをとらない素晴らしい小説なので、記憶が薄れる前に空飛ぶタイヤのご紹介です。

 

実は、空飛ぶタイヤ、直木賞ノミネート作品だったのです。残念ながら、受賞する事は出来なかったのですが、非常にリアルな描写に驚愕です。

 

まあ実は直木賞受賞作品より、面白かったりするのが、ノミネート作品ですから・・・。だいたい、直木賞ノミネート作品の後に、直木賞をとったりするので、エンタテイメントの要素が強い作品が多かったりするんですよね。

 

さて、空飛ぶタイヤ、もうひとつ追加情報としては、今、勢いに乗っている池井戸 潤さんの作品です。元銀行家というだけあって、中小企業の内情が物凄く分かっているようで、メッセージ性も非常に強いです。

 

社会派小説の最高傑作

私は、上下巻合わせて、4日で読み終わってしまいました。

 

走り出したら止まらない、小説の中味は、問題となった社会派事件、リコール隠しを題材にしているので、テーマは重いのですが、不思議とすらすらと読み進んでしまいます。

 

中小企業の配送トラックの車のタイヤが走行中に突然はずれて、子供と散歩中の主婦にぶつかるというショッキングな事件から物語はスタートするのですが、惹きつけられます。

 

空飛ぶタイヤ、まさにその名の通りの事件発生から、解決までを描く、社会派小説なのですが、人間味あふれる小説でもあるのです。

 

特に社長の赤松に共感を覚えたら、間違いなく面白いと感じるはずです。

経済音痴も楽しく経済学べます

池井戸 潤さんの小説は面白くて為になり、かつ、実は実際におきていた事件がベースになっていたりするので、読み終えると頭が良くなったような気がしてしまいます。

 

中小企業の資金繰りの仕組み、財閥系の企業の実態、サラリーマンの駆け引き、世間の多くの会社に見られる日常が、小説の中で生き生きとえがかれています。

 

学生が読んでも面白いかも知れませんが、社会人が読むと自己の業務に重なる部分があったりして、こういう上司確かにいるなあと共感したりして、小説の中に登場する人々がきっと身近に感じられるはずです。

 

最後にとてもすがすがしい気持ちになれます

これでもか、これでもかと、苦難が続いた後に、雲間から光が射して、その後は快晴に向かうという展開で気分の良くなる小説ですが、結果だけなく、プロセスも傑作です。

 

タイヤが飛んだ事件をきっかけに、悪人に仕立てられる中小企業の目線、事故で妻を失った被害者家族の視点、事故が起きても、あくまで殿様気分の大企業病に属する人々、本当にフィクョン??と思うほどリアルです。

 

特に大企業、ホープ自動車車内の出世争い、醜いだけに確かに、現実世界も同じなんだよなと妙に共感が持てます。自己の保身しか考えない、人々が多い中、中小企業社長の赤松や、少数ですが、良識のある登場人物には、熱いものを感じる事が出来ます。

 

テーマは重いです。本も分厚いです。中味も十分に濃いです。本好きでないと、ちょっとためらってしまうような、難しいと感じてしまうような、小説ですが、はまったら最高です!!

 

仕事で疲れている方、本の清涼剤として、気分がリフレッシュする事間違いないですよ。